自分はオーバードーズに興味を持ったことがある。
希死念慮がずっと強くてあらゆる死に方を模索していたときにそれを見かけてふーんとなった。
首吊り、リスカ、中毒死、醤油一気飲み、そして飛び降りなど、いろいろな方法がある中で自分は薬に目をつけた。
元々耳鼻科や皮膚科、内科、様々なところにお世話になっていたので薬をよく服用していた。なるほど、こんな方法もあるのかと当時の自分はそういった情報を齧り付くように見ていた。
一度、本当に一度だけ規定量より多く服用したことがある。
寝静まった夜に恐る恐る複数の錠剤を口に含んで飲み込む。そして布団に入って朝を待つ。
少しだけ、ほんの少しだけ期待をしていた自分がいた。目を覚まさなくていい日を期待した。明日を怖がらなくて良くなるときを期待した。
しかし、規定量より多く飲んだとはいえ、ほとんど体に害が出ない範囲だと素人目にもわかる量だった。
多少影響が出ても気持ち悪くなるくらいだと。
翌日なんともなく、いつも通りの朝がやってきた。気持ち悪さも、予想していた気分の悪さもない。いつも通りの憂鬱さだけがやってきた。
それから特に何かしたわけでもない。
たまに魔が差してぼーっとして足を滑らせそうになったり、紐を買ったり、高い場所を見つけたりすることはあるけれど、何もしていない。
ただ、日常が比較的楽しくなって、それなりに幸せだけど、相変わらず希死念慮は頭の中にずっと存在している。
意識の問題かもしれないが、これが消えることはなく、きっとこれからも存在し続けるんだろうな、と思う。
上手く付き合っていかないとなーー
でも何だかんだ生き続ける気がする、勘だけど。
(長生きはしない)